コラム

売る力とブランド力:メルマガ2月15日号

売る力とブランド力

 

昔は市場や商店街には必ず豆腐屋さんがあり、地域では欠かせないお店でした。何故なら豆腐は日持ちのしない食品であったから大手食品が手を出せなかった。スーパーでも地域のお豆腐屋さんが品物を卸していた。

技術革新によって1週間以上日持ちする豆腐が大手豆腐メーカーが売る様になり、町の豆腐屋さんは姿を消していった。町の豆腐屋さんは価格競争に巻き込まれて利益が出なくなっていった。

豆乳などの食品を主に販売している「三代目茂蔵」は東京や首都圏に40店舗以上展開して非常に元気のいい豆腐屋さんである。

運営会社は篠崎屋という会社で埼玉県越谷市に本店がある。ブランド戦略が功を奏している。もともと町の豆腐屋さんでスーパーなどに商品を販売していた。昔と違い、段々と利益の出ない商売になっていった。

三代目の樽見茂会長が「豆腐はただ作るだけではダメだ。自分で売らないとダメだ」と考え、工場の敷地内に直販店を設けて、これを機に小売業に転換していった。

2000年にはスーパーとの取引を止め全商品を委託生産にして開発に特化したビジネスモデルに転換していった。

強みは良い材料を使ったものを低価格で提供する。豆腐以外のラインアップもそろえ新商品をどんどんと打ち出している。

高付加価値商品をと生活を支える安価な商品を組み合わせてお客様に飽きさせない売る力があるから成功している。

中小企業は『売る力』がないといくらいい商品を作っても値段を叩かれるだけである。
『売る力』があるというのは、すごい強みである。

 

 

お一人様市場

 

コロナ下でも密を気にせず楽しみたいとお一人様市場が広がっている。

もともと単身者が増えているので、潜在的需要は年々増えてはいた。

繋がりを求める時代ではあるが、その疲れを癒したいと「独りになりたい」との願望が生まれている。

スポーツジムでも店内の個室で筋肉トレーニングが出来るように改装をしている所も多い。

サウナも完全個室で予約制のスタイルが好まれている。

キャンプもソロキャンプがブームにもなっている。

ゴルフも1人で回れるコースの予約は一杯になっている。

卓球やテニスも室内で行うときに1人で出来るように改良して予約が一杯になっている。

密にならないようにそして、リフレッシュをしたいというそんな願いを叶えてくれるところを探し求めている。

企業側が知恵を出していかに時代のニーズにマッチさせて提供できるかが勝負である。

時代と共にビジネスモデルを変えないとお客様は離れてしまう。
ビジネスモデルは永遠ではない。

 

 

健康志向食品

 

世界人口増加と生活水準が上がり食料不足が叫ばれている。

健康志向や環境への配慮も非常に強まっている。

今後の食生活はどのようになっていくのでしょうか?

顧問先でハラール専門の食品を製造販売している会社がある。

ハラール専門の商品なのに三越伊勢丹グループのお中元お歳暮用としてカタログに載っている。ハラールはイスラム教の方専門の食品だと思っていた。高収入で健康に非常に気を遣っている層がハラールの食べ物を好んで購入するという話を聞きました。

ドトールでは大豆ミートを使ったハンバーガーが売られている。食べてみると結構美味しい。

食品製造のフェリーチェ(山口県)は自家製豆腐を原料に代替肉の『TOFU MEAT』の生産能力を倍増するほど需要が高まっている。一般的な大豆ミートに比べて臭いが無く好まれている。この会社は豆腐製造の老舗でもなく異業種からの参入である。

業界に長い間いる会社ほどこのような革新的な発想がなく停滞していることが多い。

今までの常識を否定して事業を進めないと新たな発想は生まれない。
時代は加速的に変化している。
変化を好む会社にすべきである。

 

 

伝統プラス斬新さ

 

お寺や神社も参拝者が減り経営が苦しいところも多くなってきた。

400年続く築地本願寺も同様でリブランディングに取り組み経営の安定化を図っている。新しい顧客創造をしないと生きていけないので、「開かれたお寺」を目指している。

「築地本願寺カフェ Tsumugi」を創設した。誰もが気楽に立ち寄れるように「18品目の朝ごはん」を提供している。

18という数字は、阿弥陀如来が人々を救うために請願の中の第十八願から来ている。物語が確立されているのも強い。お粥とお味噌汁と16の小鉢が付いて非常にインスタ映えもする。1800円(税抜き)というお値段的には高いが、女性から非常に人気になっている。

伝統にしがみ付いてもダメで、伝統に斬新さを加味させて新たな顧客創造をしないと廃れるだけである。

非常に伝統ある商品も売れなくなってしまって困っている会社を見かける。

良い時代を忘れることが出来ず、新たな試みにチャレンジできずただ防戦一方の会社もある。それでは先はない。

社長の勇気ある決断力が会社の将来を左右する。
リブランディングをして新しい顧客創造が需要になってくる。

 

 

経営者の統率力

 

多くの経営者は従業員がなかなか思うように動かず悩んでいる。

よくカリスマ性が無いと難しいとか言われる方がいますが、一番大切なことは信頼性である。

未だに田中角栄のことを素晴らしい人物であったと褒め称えている書物も多い。それには訳がある。霞が関の役人は高級官僚で頭脳明晰で専門職的立場ですから政治家も知識では太刀打ちできない。高学歴でない田中角栄は絶対に自分の手柄を部下の手柄としていつも披露していた。部下に花を持たせる達人であった。霞が関で絶大なる支持者も多かった。

よく政治家の演説を聞いているといかにも自分が何かをしたような口ぶりで言っている軽い政治家が居ます。

田中角栄は自分のことを自慢げには披露しなかった。

経営者も一緒で熱狂的な信者が社内にいるかどうかだ。

そして曖昧なことを言わない。YESかNOかはっきり言うことです。
出来ないことを出来るような言い方をすると結果的に信用を無くす。

指示がぶれる経営者は社員から総スカンを食らう。そういう経営者は経営もブレる。

信念のある筋が通ったところが無いとダメなのである。

菅総理の支持率が下がっている。正しくブレた政治判断をしているからだと思う。

国民の命と財産を第一に守ると言っているがそうではない判断をしていると見られてしまっている。信頼を失っているのだ。

圧倒的な支持者を集めているのは、いくら大炎上しようとも信頼性がある人である。そこには嘘が無いからである。

認知度は高いが信頼性が無いと発言力も弱い。

『信用』『信頼』が今の時代にとても大切なキーワードである。

誰のために何のためにこの会社を運営されているか経営者として肝心である。

そこに私利私欲があれば社員の心が離れてしまう。

コロナ禍だからこそ社長の統率力が大切である。

自分を見つめ直し、会社を見つめ直し、社長が今何をすべきかが問われている。

 

株式会社 Jライフサポート 三條慶八

 

三條慶八の本