◆ 社長の心得◆
中小企業は社長の統率力によって会社の運命が決まる。
色々な社長を見てきましたが、会社のトップである社長であるのに、社員の顔色を見て躊躇して自分の意思をはっきりと示せない社長は会社の業績も悪くなる。
社長が己の責任において厳しい判断をしなければならないのに避けて周りの意見に左右されブレてしまっているケースを見かけることがある。
あまりにも社員の顔色を見て言うべきことを言わず放置してしまっている。経営に遠慮はいらない。
コロナ禍で大変なのに社内に緊張感もなく不満ばかり言っている現場ではこのコロナ危機を乗り切れるはずはない。
社長の仕事は船頭であり進むべき道を示し責任もって社員を明るい未来に引き連れていかないといけない。
自らの意思を曲げてまで周りに惑わされて判断がぶれているようでは会社の将来は危うい。
そこでそんなことを言うと社員が辞めてしまうかもしれないと言うべきことを躊躇している社長も居る。
社員が辞めることを気にして言うべきことを言えない社長は社長失格である。
社員が辞めようが動じない姿勢が必要である。
そのためにも一人の社員に頼りきった体制にならない様に組織改革をしておくべきである。
年商20億ぐらいまでは社内体制も整っておらずヒトの入れ替わりも激しい。それは当たり前の現象だと思う必要がある。
プロ野球球団を見ても1軍の選手が3~5年も一緒という球団はないはずである。入れ替わり、新しい血が入り活性化して更に強くなる。
会社も同様である。去る者追わずが正しい。
社長の力量以上に会社は良くならないし、大きくならない。
社長が力をつけ経営力を上げるしかない。
特に年商50億までは社長の統率力が欠かせない。でないと会社は大きくなれない。
◆立ち返る◆
新型コロナの影響で売上が下がり尚且つ赤字に転落しているそんな企業も多いはず。
いつになったらコロナは終息して元の状態に戻るのだろうとヤキモキしている経営者も多い。
コロナ融資のお陰で何とか資金ショートせずに資金が回っているからバタバタはしていないが、心境としては資金の流失が止まらず焦っている。
私が1995年の阪神淡路大震災で所有している多くのビルが損傷し飲食店は崩壊状態になり受けた損害は40億以上だった。
あの危機的状況でどうしたかというとコロナ融資みたいな融資制度もなかったので、取引している金融機関に1億ずつすぐに出すように震災後2日目から交渉していった。
あの頃は今の様にリスケが簡単に出来る時代出なかったから手持ち資金が激減していく中震災後すぐの借入が後々再生する上でとても大切な勝負資金となった。
リスケという手段を取る必要があると思い、各行を回り半年かけてリスケにこぎつけた。しかし、何年も続けられないと思い、根本的な再生を果たす必要があると感じていた。
その頃に金融危機が訪れて多くの金融機関が倒産して再編が起こっていった。
これでもかと言うほど不幸なことが降りかかってくる。
先を見据えてとにかく先手を打って危機を乗り越えていった。
取引金融機関がドンドンと倒れ取引先企業のことより自分たちのことの方が第一だろうと感じていた。
金融機関の動きより先に再生に向けての準備をしていたお陰で生き延びることが出来た。
再生は銀行主導ですると真の再生は出来ない。真の再生を図りたいなら銀行に先んじて動くことです。
あの時に思ったのは、『何のために事業をしてきたのか』を自問自答して再生後の姿を描いていた。それをしていなかったら恐らく再生も出来ていなかったでしょう。
本当に大変な時期で二重苦三重苦ではなく十重苦以上の苦しみを抱え毎日を過ごしていた。
何か他で食えるものを探さないといけないと周りの儲かっている業種を研究してチャレンジしようと模索もしていた。そんなブレたことも考えていた。
目の前の大きな問題を解決しない限り人生は破滅しかないと思い、とにかく再生するためにどうすればいいか自分なりに考えていった。
今思い出すとよくそんなことを考えたなと思えることをしていた。それ程必死だった。
だから、コロナ禍で苦しんでいる経営者の話を聞くと元の位置に立ち返ることから始めるように勧めている。
社長がいかに強い気持ちでやり抜くかにかかっている。
◆ 判断の優先順位◆
会社のことを決済するのにどうしていいかわからず社長決裁に委ねて受け身の仕事しかしない社員ばかりになっている中小企業は非常に多い。
それは社長にも責任がある。特に創業者の時には自分で会社を興し自分で決済して会社を大きくしてきたからカリスマ性がありすぎる。
しかし、それでは社員は育たずいつまでもパパママストアのままで成長がない。
社員に自分で考えて自分で責任もって行動してみろと言っても責任を負わされるならしたくないのが本音だ。
社長が自分が責任を持つから社員に考えて行動することをさせない。失敗をさせながら
成長させることをしない。
社長が社内での一番の失敗経験者なのに。
社員にとって何を基準に判断したらいいかを明確に知らせてないと決断なんて出来ない。
会社の理念に合っているかが一番大切である。
よくお客様第一というがどういう理念に基づいて第一とすべきなのかを明確にすべきである。
お客様第一なら何でも良いわけではないはず。利益がない仕事を第一には出来ない筈です。
私が家主業を営んでいた時は社員にこのように伝えていた。
私の家主業の基本的考え方は資金が無いがやる気のある人が成功するためのサポートをする家主業だと言っていた。
その為に家賃を遅延する人もいる。その時の絶対的な優先順位があった。
商売をしているとしんどい時もある。それは理解しておくべきで家賃が遅延する時もあるだろうが、事前に連絡してきたテナントは一定期間待つことを許す。
連絡もなく遅延してきたものには徹底的な処置を講じて追い出す作業をする。
社会的常識がないと信用できない。家主と店子は信頼関係が大切だから。
最終的に約束を破り追い出さないといけない時やテナントとトラブった時だけ私に連絡する様に社員に伝えていた。
安心して自分たちに仕事を遂行してくれたらいい。すべてケツを拭くから大丈夫だと伝えた。
仕事の判断の優先順位を徹底的に教え込んでおいた。
失敗した時には絶対に怒らない。二度と同じ過ちを起こさないために会社はどうすればいいかをキチンと報告してもらっていた。
この仕事の法則は全社員に徹底させていた。
そうしないとひっきりなしに私のところに決済を求めてくる。
それじゃ私の仕事が出来なくなる。
◆経営者病◆
人間上手く行きだすと必ず甘えが生じてしまう。
まずは、自惚れてしまう。事業が上手く行くと俺が素晴らしいと勘違いして自惚れてしまう。
周りから褒めたたえられて、もしかしたら俺って才能あるのではと勘違いしてしまう。
勘違いから驕り高ぶり傲慢な態度をとる経営者もいる。
出来る経営者はいつも謙虚で教えの精神を持っている。
1つ事業があたるとマスコミからヨイショされてその気になってしまう。
そんな経営者を知っているが今はその会社は無い。
1つ成功するといつまでもその成功が続くと勘違いしてしまいマンネリの経営をしてしまう。
老舗企業でも革新的なことにチャレンジして成功している所もあれば同じ商品を同じように売って変わり映えの無商売をしているところもある。
商売も鮮度が命で賞味期限がある。
経営者病にならずに成功する経営者は大きな目標を掲げるビジョン力がある。
果敢に攻め続ける実践力がある。
そして、やり抜く貫徹力がある。
この3つが大切である。
◆計画ははずれるもの◆
【計画ははずれるもの】
多くの中小企業が事業計画を立てている。
残念ながらその計画通りいくことは殆どないのが事実である。
計画通りいかなかった。それで終わってしまっている会社が殆んどである。
どう計画と違うのか何故計画通りいかなかったかその徹底的な検証をしていない。
その検証の結果、どういう改善を図ればいいかを議論していない。
だから次に活かされずいつも同じ結果になっている。
計画を立てることが最終目標になりそこで終わってしまっている。
立派な計画書を作成してそれで満足していては会社はいつまでも良くならない。
計画は、毎月検証し、差異の原因を追究し、問題点を洗い流し再計画をその都度再作成する。
その繰り返しをしないと計画書と言う作品で終わってしまう。
計画は予定通りいかないもの。その計画をいかに実現に近づけるためにどうすればいいかを常に考えなければただの計画書になってしまう。
試算表はその月の反省点を踏まえ今後どうしていけばいいか改善策を見つけるために作成されているもの。
それが1か月も2か月も先にしか試算表が出来上がらないのでは作成している意味がない。計画書の検証もしようにも手遅れ状態になっている。
何事もタイムリーで無ければ意味がない。
株式会社 Jライフサポート 三條慶八