◆見る目が違う◆
成功する人とそうでない人とではどこが違うのかと聞かれる。見る目が違うと思う。
世の中にある素朴な疑問を流さないで解決しようとする。そこに商売の大きなヒントがある。
その中で自分の人生を掛けて取り組むことは何なのかを見出した人は成功する。
韓国で食料品の早朝宅配サービスを手掛けるカーリーの創業者キム・スラ(37歳)は、その見る目が違っていた。
食料品の通販サービスは今ではどこでもある。普通は昼から夕方に届けるのが通常ではないかと思います。
マーケットカーリーは単身者や共働き家族に的を絞り新鮮野菜・魚介類、調理が簡単な半調理品・簡便食品を揃えて、『早朝配達』する。
女性経営者ならではの『早朝配達』の発想である。夜11時までに注文すれば、翌朝7時までに自宅の玄関前に到着する。ソウル首都圏の人口の2割超の会員を獲得している。絶対的なシェアを握ってしまった。他が追随できない。
商品についても本当の価値のある商品を顧客に代わって選びベストの状態で届けるのが使命だとキム社長は妥協しない。
コロナ禍で需要は大きく伸びているが鮮度と品質が命なのでいくら受注が増えても十分な品質保証が出来ない商品は受注を停止する。
「最優先すべき顧客との長期的な信頼関係」を築いていった。
人生をかける課題を解決するという大きな志が無いと事業は成功しない。
◆越境ECサイト◆
海外の通販サイトなど国境を越えて商品を購入する越境ECが急拡大している。
若者はSNSで拡散された情報をキャッチして抵抗もなく海外の通販サイトから商品を購入する。
もう10年前と全く違った世界になっている。時代の流れが昔と全く違う。10年が1年で変革している。
翻訳サイトもあるし、購入する方法の説明書が日本語でSNSに存在する。
配送や決済サービスも整備されたことも一因である。
ロシアのアイシャドーが#ロシアのヤバい粉と呼ばれ若い人に人気である。人気が出たのは18年でロシア側の担当者は何故売れたかわからなかった。
どこでブレークするか分からない時代である。とにかくSNSで露出しないとどうにもならない。
顧問先で日本郵政の海外配送や決済サービスサイトを一手に引き受けている会社がある。ノウハウがすごいのでコロナ禍でも忙しい。そのノウハウが素晴らしく国内外の多くの企業からアプローチがすごい。
商売というのは発想力だなと実感する。その社長は実践から生まれたノウハウなので他社には発想出来ない。
日本だけで売る発想はもう捨てなければいけない。
日本は島国で生きてきたので、なかなか発想転換できない。
地球儀で商売を考える必要がある。
◆信念を貫き通す◆
食パンブームが少しずつ下火になってきた。
お客様は移り気なので、ブームになる前にオープンした店は儲けている。
ここ1年程度のオープンなら予定の売上も利益も達成できない店が殆どである。
パンは、夏場になると売上が急低下する。
そんな中愛媛県のパン・メゾンの平田オーナーが夏場対策のパンとして塩パンを開発販売した。中はもちもちで溶けたバターがぱりぱりして新食感のパンが出来上がった。肝心の塩もいろいろ試してみてある岩塩がマッチした。試行錯誤の自信作であった。
本人はこれは売れると平田さんは直感した。しかし、売れなかった。
売り続けて4年が経過して徐々に売れ出して評判となり人気爆発して長い行列が出来るようになった。
1日6000個を売る超ヒット商品となった。これが塩パンに誕生である。
自分を信じて信念を貫き通すことはとても勇気がいる。しかし、信念を貫き通す強い意志が無いと商売はブレてしまう。
コロナ禍で大変な状況に陥ってどうすればいいか先が見えない経営者もいる。
自分が自信をもって貫き通せるものは何かをしっかりと見極めて惑わず進めることである。
自分は何をもって社会に貢献できるのかがとても大切になってくる。
社会にとって存在価値が無いものは将来消えていくしかない。
◆工場のデジタル化◆
日本の中小企業の工場は昭和時代からの流れの労テク中心の工場が多い。職人に頼った生産性の低い現場になっている。
菅総理は生産性を向上させ中小企業の競争力強化を図ろうとしている。しかし、資金も人材もない中小企業にとってとても難しい課題である。
工場のデジタル化を後押しする助っ人として『ファクトリーサイエンティスト(FC)』が出現した。
FCとは、現場起点でIOTなどを活用したデジタル革命を経営陣へ提案し実装出来る人材である。より現場を尊重して発想できる人材である。
例えば金型加工工程で側面にセンサーを取り付け異常な状態になっているとアラートで知らせる。
従来なら点検に一日3時間かかっていたのが時間削減でき、生産性向上が図れる。
ファクトリーサイエンティスト協会で学んだ経験と知識で工場の生産性を上げている。
この協会は中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の後押しをしている。
製造現場のIOT化で浮かせた時間と資本を付加価値の高まる起爆剤にする必要がある。
先進国で一番労働生産性が低い国(日本)からの脱却を図らないと中小企業の将来はない
◆ファクタリングの危うさ◆
中小企業の資金繰り対策でファクタリングや購入型のクラウドファンディングなど新手法があり経営者が上手く活用すれば利点も多い。
資金に行き詰まり銀行から資金調達出来ないからファクタリングを利用する経営者もいます。手数料も売掛金の10%超を取るファクタリング会社もあります。
中小企業ではそれほど多くの粗利のある商売をしているとは思えない。一時的に使うならいいが、頻繁に使っているようでは、必ずどこかで行き詰る。
銀行融資に1~2か月かかりそれまでの資金調達として利用するなら効果的だと言える。
ファクタリングが慢性化した資金調達方法になれば先行きは危うい経営になる。
中小企業と言うのは、資金繰りがとても大切である。
社長自ら資金繰り表を作成できる力が無いと安心した経営が出来ない。
お金の流れを把握していない中小企業経営者が多い。
私がこの商売をして驚いたのは、資金繰り表を作成していない中小企業が多いことである。それは暗闇の中で商売をしているのと同じである。
銀行に資金繰り表を求められると税理士や会計士あるいは経理に委ねて自分でチェックも出来ず提出している社長も多くいる。
銀行はその資金繰り表を見て質問しても答えられない社長は経営者として信用できなくなる。
拙い資金繰り表でも自分で作成した資金繰り表を提出した経営者の方が銀行からの評価は高い。
行き当たりバッタリの経営をしていては安定した経営はいつまで経っても出来ない。
正確な数字を把握しないで勢いで売上を上げて黒字化していた社長が勢いが止まって赤字になると会社のどこが悪いのかどう改善したらいいか何から始めたらいいのか全く分からなくなっている社長が多い。
経営者・社長にとって『数字』は生きていくための心臓で血管が詰まってしまうと死に至る。
スムーズに流れていると常に確認できていないとイレギュラーな資金調達に走ってしまう。
株式会社 Jライフサポート 三條慶八