生時に、いつも年頭に思うことは、今年の資金繰りはどうだろう?という事ばかりでした。1年の資金繰りを立て、そして利益計画を立てることを最初の仕事にしておりました。売上拡大より、資金調達の方がしんどかったですね。いくら赤字でも資金が回っているなら全く問題ない。しかし、黒字であるにも関わらず資金繰りがショートすると倒産してしまう(黒字倒産)。中小企業の大半の方は、資金繰りでお悩みだと思います。インフレ時にご商売をされ、拡大経営をされてきた方は、この15年以上のデフレでの経営は非常に苦しいものだったと思います。しかし、アベノミクスでデフレからインフレ、そして、円高から円安にシフトします。会社として成長のチャンスです。しかし、ひとつ問題があります。このような政策の転換期において、過去の『負の遺産』を持っているとチャンスを掴めなくなります。だから、早く前に進める体制を構築しておくべきです。でないと、乗り遅れてしまう。
政府は、モラトリアム法案や中小企業経営強化支援法や緊急保証協会付融資など支援策を講じました。政策転換で窮地に陥る企業もたくさんある訳で、色々な支援策をしてきましたと世間から文句が出ないよう取り繕ってはいますが、全ての中小企業が助かるわけではありません。だから、そのリスクを予知し、行動することも、経営者として大事なことだと考えます。
|
◆保証協会付貸付の実態と裏側
保証協会付け貸付は、中小企業支援だとうたっていますが、実際はそうは思いません。実態は、金融機関支援とも言えるものだと思います。何故なら、金融機関にリスクを負わないような制度となっているからです。 制度が変わって100%保証と言うのが無くなってきましたが、以前の緊急融資などは100%保証でしたから、金融機関にとっては、融資先が支払えなくなっても代位弁済という形で保証協会から貸付金の返済を受けることが出来ます。だから、どんどん金融機関は経営的にしんどい企業にも貸付していきました。ひどい金融機関などは、プロパー融資の返済のために保証協会融資を実行したところもあります。結局、金融機関が取引先に対して調査し、事業性はどうか?など見極める眼力がないから、安易な融資に走ってしまっているのではないでしょうか?国の企業の97%が中小企業なのに、このような中小企業の融資実態でいいのでしょうか?いつも疑問に思います。今は小さな力かもしれませんが、その不条理な社会を変え、真の中小企業の再チャレンジ社会構築を目指して、戦っていきたい!
◆代位弁済されたらどうなるのか?
保証協会付借入の返済が出来ず、3か月間金利も支払わなかったら、期限の利益が喪失し、代位弁済されると債権者は金融機関から保証協会に変わります。金融機関は、保証協会から残債務が支払われます。つまり、リスクなく、貸し付けていた訳です。残った負債をどうするか?保証協会と話し合わないといけません。その窓口は、保証協会内で保証協会サービサーとか言って部署が変わるだけです。
普通プロパー融資の債権なら、払えなくなると民間のサービサーに売却され、サービサー処理ができ、債務をゼロに処理することが出来ます。しかし、サービサーは全くそのようなことはしません。ですから、会社の再生においても最も厄介なのが保証協会問題です。法的処理をしないと処理をしようとしません。これが再チャレンジ社会を阻んでいるのが実態です。日本政策金融公庫も同様です。借りるのは簡単だが、再生時の処理をする時に大変な思いをしないといけない。その対策は色々な選択肢がありますから、よく話し合って納得する方法を選ぶべきです。しかし、債務者のことを本当に考えてない再生会社の人間は、とりあえず~~と言います。私はとりあえず~~が大嫌いです。ホームページのコラムにも記載しましたが、年末の日経の記事を読まれましたか?結局、保証人問題は、前に進みませんでした。参考に見ておいてください。債務者になって困った人が集まり議論するのでなく、貸し手側の人間だけで議論されたから当然の結果でしょう!つまり、貸手側の理論が通っただけのことです。非常に残念な結果です。
◆保証協会付け貸付からノンバンク保証貸付へ
保証協会付き貸付が100%保証でなくなったので、金融機関は次の一手を考えました。それは、ノンバンクが保証する融資です。保証協会に変わりノンバンクが保証し、融資する制度です。暴力団融資で揺れた金融機関があったと思いますが、まさにその類の制度融資です。結局、自分たちでリスク負わず貸し付けることばかり考えている。それが、バンカーなのでしょうか?企業を育てるという土壌がないと中小企業の未来はないのではと危惧致します。
◆金融機関への融資依頼のポイント 融資してもらう時に、計画書など作成されると思いますが、皆様は、どんなことを一番考えていますか?金融機関が貸したお金がどうやって回収できるのか?しか考えていません。つまり、返せない金は貸せない。しかし、返せなくなったことは、貸し付けた担当者の責任では無いのです。貸せるような計画書を作成し、尚且つ万が一返せなかった時に、その担当者が責められない理由が成り立つようなものにするのが一番いいものです。しかし、無謀な計画で、稟議に通らない計画書はダメです。そのサジ加減がわかるようになれば一人前です。
株式会社 Jライフサポート 三條慶八
|