コラム

中小企業の私的整理に新指針:メルマガ11月22日号

中小企業の私的整理に新指針◆ 

 

新型コロナ禍で経営が傷んだ中小企業はかなり存在する。

未だに先が見通せない企業も数多くあります。

コロナ融資で負債はコロナ前よりかなり増えた。
未だにコロナ前の売上や利益に程遠い状態で推移している。

不安を抱えた中小企業は数えきれないほどだろう。

銀行員に聞くとコロナ融資の半分は返済されないかもしれないと予測を立てている。

それ程債務過多状態に陥っている中小企業は多い。

衆議院選挙前から政府や政治家などに中小企業支援策はお金を出すと言う今までのやり方でなく債務カットをし易くすることが一番の近道だと訴えてきた。

この度全銀協が有識者や業界団体で構成した研究会を開き中小企業の再生手続きを定める新しい指針作りの議論を始めた。

残念だがこれだと恐らく貸し手側の論理だけでプランニングされる結果となる。

今までもそうだが債務者側からの意見は全く反映されていない。

2022年1月に事業再生ガイドラインが出来るが、期待を裏切るものでなければいいが。

現在は中小企業再生支援協議会が中心になり私的整理を進めているが、いつも思うのが制度の壁である。

各都道府県の支援協議会のレベルもやる気度も全く違うので不公平である。

全行一致でないと前に進まない。

尚且つ、信用金庫が債権放棄に応じないケースが多い。
何故ならば体力がないから放棄処理を拒む。

信用金庫や信組など体力のない金融機関へは放棄した金額に応じて公的資金を投入するなど何か手を打たないと結局は絵に描いた餅になる。

永田町や霞が関にも現場のことを理解し耳を傾けてくれる人を一人でも多く増やして中小企業経営者の再チャレンジ社会の構築を目指したい。
それが私のミッションである。

才覚あるのに一度の失敗で破産に追い込まれると10年間借入もできない。

リセットして再出発するのに10年を要するようでは時代の流れが早いので再チャレンジは難しい。

再生方法と破産制度を変えない限り中小企業経営者は思い切ったチャレンジが出来ない。

 

 

家族主義と年功序列

 

昔の中小企業の多くは、家族的な雰囲気で1つにまとまっていた。

時代と共に変化し、能力主義が叫ばれ年功序列も消えていった。

今でも家族主義と年功序列を守りぬいて増収増益を続けている青果卸業の万松青果(京都)がある。

この会社は『自分の夫に働いてほしいと思える会社』として映っている。

それはすごいことだ思います。

なかなかそんな会社は無い。

中路専務は挑戦したい、変革したいと考え先進的な取り組みを進める人でしたから従業員が次から次へと辞めていく時代を経験した。

その辞めていく原因を突き詰めると自分がこのような人材がいいと決めつけ採用したことが間違いだったと気付いた。

自分が良かれと思ったことを一方的に押し付けていた。

働く人の多くは普通の生活をしたいと願っていることを再認識した。

様々なタイプの人、異質なものを認め合うところから変化がみられるようになった。

成果が上がらない従業員がいるのは本人だけの問題だけでなく上司や会社に問題があると考えた。

会社で従業員の能力を上げる押し上げていく文化や仕組みを作る努力をしていった。

従業員がすべて家族だと思い、お互いに助け合い、お互いに高め合う集団になる様に持っていくことが大切である。

会社のイベントもすべて従業員家族も参加してもらい一体感を味わってもらう。
そのような色々な仕組みを作っている。

経営理念もはっきりして会社の方針が分かる様にしている。
こういうことはしませんとか正義感ある会社であることを訴えた。

私が事業をしていた時も社員すべて家族だという認識で誕生日にはプレゼントとケーキで祝い、それぞれの家庭事情も加味して働き方を変えていた。

会社に『愛』がないと伸びないと考えていた。

だから、社員の変化をじっと見ていた。

守らないといけないものがたくさんあるから経営者は頑張れる。

家族主義的な助け合いの精神がある中小企業は小さくても強靭である。

 

 

ダメな会社の5つの共通点

 

コロナ禍で低迷している会社も多いと思います。
競合他社に比べて落ち込みが激しいのは何か他に原因がある筈です。

ダメな会社の共通点が5つあります。

1つ目は、社内会議において長時間会議をしているが、終わってみれば何も決まっていない。

つまり、会議することで安心して仕事をした気でいる。

2つ目は、誰も責任を取らない。責任ある決断や行動をなるべき避ける習慣がある。

つまり、責められるのが嫌で責任ある立場にも居たくないし、責任ある決断もしない。
言われたことだけして仕事を済ませようとする。

3つ目は、決めたことをしない。決めたことをするのが当たり前だが、決めたことをして失敗するなら
前のままのようとする。

つまり、決めた新しいことをすると失敗する確率が高いから無理して決めたことをしない。
みんながやるとする傾向がある。

4つ目は、部署を越えたリーダーたちが現場を知らない。
現場を知らないから支持することが頓珍漢になり失敗の連続になる。

つまり、会社全体のことを見ようとせず自分の部署だけ上手くいけばいいと思っている。
現場の意見を吸い上げて共助の精神でことにあたるとややこしいと思っている。

5つ目は、適材適所の人材活用が出来ていない。

年齢と経験値だけですべて判断して人事をする。

つまり、新たな人材活用をしない。
失敗を恐れるために固い人事をする。
チャレンジ精神が無くなり新しい発想もアイデアも出ない。

 

 

3つの経営

 

経営には、『攻める経営』『守る経営』『捨てる経営』の3つがあり、経営環境や会社の体力によって
バランス良くしなければならない。

将来性がありチャンス到来時にはドンドン攻める必要がある。
何故なら勝機を逸したら負け戦になってしまう。

そうは伸びないが確実に儲かるものは守りぬいてその利益を確保していく堅実さがないといけない。

不透明な時代に急激に売上が減少したり緊急事態が生じることがある。

正しく今のコロナ危機です。

そのような時に過剰な在庫を持つ事、稼働の悪い工場や設備を抱え込んでしまっては損益分岐点が上昇して経営を圧迫するだけである。

多くの経営者は捨てるのを嫌うし苦手である。

何故ならば売上は減るからである。

売上が減ると銀行からいい印象を与えないとか変な論理を考えてしまう。

売掛債権や在庫というキャッシュが寝てしまう状態になり余分な資金が寝てしまう結果になる。

売上が確保できても利益が減ってしまえば、資金繰りが結果的に苦しくなる。

中長期的に経営を考えないと目先の帳尻だけ合わしていても経営は上手くいかない。

 

 

会社の良い時と悪い時

 

会社を経営してずっと業績がいいのはあり得ない話である。

必ずいい時もあれば悪い時もあるのは当たり前の話である。

本当にいい時つまり儲かってしょうがないと言うのは10年に1度だと思う。

逆にしんどい時と言うのは9年間だと思う。

9年苦しんでやっと1年いい思いが出来たと言うのが普通のように思う。

それ程商売というのは難しいものだと考えている。

ちょっとの油断で会社はおかしくなるものだ。

いい時ほど気を付けないといけない。
いい時と言うのはあとは悪くなるしかないのだから今のうちに次の一手を考え次の柱を設けておく必要がある。

なかなかこれが出来ない。
商売人は調子に上り気を緩めてしまうことがある。

まだまだいけると思って更に投資したりする。
これが痛手になって会社がおかしくなる。

欲を出すとしっぺ返しが必ずくるようになっている。

業績が悪い時にはどうしたらいいのでしょうかと聞かれることがある。
それはよくリストラとかいうが会社のムダを省くことだ。

つまり将来性が無いものを止め儲からないものを止めて自分の得意技を磨くしかない。

商売は極めれば必ずもうかる様になっている。
何をどう極めれば一番いいのかを経営者がわかっているかです。

中小企業は昔のように言われたことをしていたら食えた時代は終わった。

自らが考え創造して競合他社に負けない会社の宝を見つけだしそれを極めるしか生きる道はない。

 

株式会社 Jライフサポート 三條慶八

三條慶八の本