コラム

アパレル事業モデルの崩壊:メルマガ6月28日号

アパレル事業モデルの崩壊

 

新型コロナによってアパレル業界は気の毒なほど被害を被っている。

昨年は緊急事態宣言もあり春夏物・秋冬物のバーゲンはまともに出来ず在庫の山になってしまった。

特に百貨店中心に売上を伸ばしてきたメーカーは大打撃を被っている。

神戸に本社を置くワールドは自社アパレルブランドを中心とする事業モデルを変革しようとしている。

店舗の存在意義が問われている。店を出店したから売上が伸びると言う安易なビジネスモデルは成立しなくなった。

コロナによってIT化が進み将来起こるだろうと思っていたことが準備なしにやってきてしまった。それ程激震が走っている。乗り遅れたら倒産しかない。

大量閉鎖とブランドの廃止などで過去最大の赤字を計上した。

店舗のノウハウを外販したり他社の在庫の処分する業態を始めたり今までにない収益の柱を築こうとしている。

つまり、もう売れる服が今までと違ってきたということ。しかも、食品ロスと一緒で衣料ロスも社会問題になっている。

仏壇大手のはせがわが運営する田ノ実という雑貨店の黒子となり開発から運営方法までお手伝いしてワールドの持っている経営資源を最大に活用して収益事業にしている。

同じようなことをBEAMSも行っている。ファッション業界のセンスとノウハウを他業界に活かすのは理にかなっている。

コロナ禍で大変な企業はあるがもう一度自社の経営資源を見つめ直し派生事業を展開して収益の柱にすることが生きていく知恵である。

商売は『知恵比べ』である。

 

 

売れ筋分析力

 

売れ筋分析力で同業他社を凌ぐ10%超の営業利益率を打ち出している会社がある。

それは100円ショップのセリアである。100円ショップと言えばダイソーやキャンドゥですが営業利益率は2~3%が普通です。

100円ショップですから薄利多売が基本ですから利益率は低いのが当然です。しかしながらセリアだけはアルゴリズムで売れ筋を分析し無駄な在庫や発注をしないシステムを構築している。

セリアが使うのがセリア・バーチェス・インデックスと呼ぶ指数を取り入れた発注支援システムである。商品ごとの顧客の販売個数を全社ベースと店舗ごとに自動で算出して店舗面積や季節要因などを組み合わせて優先して発注の商品リストを作成する。

勘を頼った発注をせず数字分析に基づいた発注をするので無駄な作業と無駄な時間と無駄な在庫を省け機会損失を失くしている。

このように時代は企業の分析力が勝負になってきている。

中小企業は出来ないでは済まない時代になった。

コロナによって加速的にIT化AI化が進む。

コロナ融資での余裕資金を将来のためのIT化AI化に投資いている中小企業は生き残っていくだろう。

昔ながらのやり方をいつまでも踏襲していては生産性が悪く利益率も悪くなりいつか息詰まる。

 

 

◆  リーダーシップとは◆

 

よくリーダーシップとは何かという議論をしている。

権力ある立場の人が自分の言うことを聞かせようとするのがリーダーシップかというと絶対そうではない。それは強要であって、心から従っている訳ではない。

ソニーの創業者の1人である井深大がトイレの落書きに困っていた。

多くのお客様が来るのに会社の恥だから止めるように指示を出した。しかし、一向に止めることが出来なかった。ある日、掃除のおばちゃんがここは私の神聖な職場です。落書きをしないでくださいと貼り紙した。

それから落書きはなくなった。私より掃除のおばちゃんの方がリーダーシップがあると感じたそうです。

つまり、影響力が無いとリーダーシップがあるとは言えない。

自分が望む方向に相手の態度や行動が変容できることがリーダーシップである。

いくら偉そうに吠えても心に響かなかったら何も変わらない結果になる。

社長のリーダーシップはどうあるべきか再度考えて見る必要がある。

 

 

◆出来ないと思うな◆

 

コロナ禍でも大きく業績を伸ばしている企業もあります。

大企業でも相当のダメージを受けたが、急回復してコロナ危機をチャンスに変えて大きく業績を伸ばしている日本電産のような企業もある。

日本電産の永谷氏は創業時には京都の桂川の堤のそばにある30坪の染め物工場の1階を借りて旋盤とプレスで工場を経営していた。

当初はどこに行っても仕事をもらえず過酷な注文に技術者が無理だと言っても出来ると確信をもって受注していた。

技術者に出来るんだ出来るのだと何千回も声に出して言わせてその気にさせていた。

すぐにやる必ずやるできるまでやる

この精神であの大企業に育て上げた。

だから、このコロナのピンチをいかにチャンスに変えるかを考え実践して飛躍している。

トップが道先案内人として責任もって連れていく覚悟がないと誰も社内で腰を上げてくれない。

経営は社長次第である。会社が危機に瀕するほど社長の力量によって会社が変わってくる。

コロナ禍で全くダメな業界でも顧問先の中では最高益を出している企業もある。

やはり社長の先を見据えてた変わり身の早さである。無理だと諦めている社長は赤字のままで会社が沈みかけている。

ワクチン接種が進み秋ぐらいからのアフターコロナをどう考えて行動するか今問われる時である。

 

 

二つの決断

 

決断には正しい決断と間違った決断がある。

正しかった決断とは、すべてマイナスの決断、捨てる決断から始まっている。

間違った決断は、すべてプラスの決断、足し算の決断である。

捨てないで加える決断から始めている。

正しい決断とは努力と苦労を重ねて成功した過去を捨てることなのです。

間違った決断は過去から積み重ねてきた成功を捨てたくないし過去にしがみ付いている方が楽だから成功から付加した変化で乗り切ろうとする。

加える決断がすべてダメではなくまずは捨てる決断をしてから行わないと上手く行かない。

成功体験を捨てる勇気が無いので、過去の成功にしがみ付き保守的になりがちである。しかし成功は失敗の元に成り立っているのである。

失うものが無いから新しいことにチャレンジできる。
新しいものにチャレンジするから革新的なことが起こるのである。

コロナ禍の時代の様に大きく変化する時こそ
まず過去の成功体験を捨てることから始めるべきである。

二つの決断のうちどちらを選ぶかで将来は大きく変わってしまう。

 

株式会社 Jライフサポート 経営コンサルタント 三條慶八

 

 

 

三條慶八の本